ノヴィーについて-ゼロから始まる物語-

チェコ製ピアノ「ノヴィー」。静かに眠っていた「ノヴィー」を再生させるのに、どれだけ多くの人たちが、惜しみない協力の手をさしのべていただいたことでしょうか。
すべてを語りつくすことができません。その一部を、お伝えいたします。

  1. 2014年

    静かに眠っていた「ノヴィー」

    10月17日

    松江市教育委員会の阿部隆さんに連れられて、旧田野医院に眠っていたピアノに出会いました。阿部さん「なんとかしようよ」。ぼく「なんとかしますか」。もう廃棄が決まっていたピアノ。物語はここから始まりました。

    井土和光さん達がノヴィーの様子を見る

    11月20日

    井上楽器店の社長に紹介されたピアノ修理士・井土和光さん。彼の工房・アートピアノ社は、松江市八雲町にありました。さっそく訪問。1時間半のお話の中で、彼が西日本で一人と称される、匠の技の持ち主だということを知りました。一歩前進。

  2. 2015年

    クレーンで運び出す

    2月4日

    市から無償譲渡されたピアノは、中国ピアノ運送の手で、田野医院からアートピアノ社へ。2016年2月18日まで、1年2カ月をかけて、井土さんの技で再生されていくことになりました。この頃から、山陰中央新報社の岩井彩佳君の取材が始まりました。

    2月

    先ずは、組織を立ち上げないといけない。実行委員長は、前松江市教育長の福島律子さんが引き受けていただきました。いつも笑顔で、困ったことがあっても動じない。そく判断。ぼくたちスタッフにとっては、心強い実行委員長でしたね。

    チェコ大使館

    3月13日

    チェコのKoch&Korselt社で作られたピアノ。だったら、チェコ大使館へ。チェコセンター長の高嶺エヴァさんとの出会い。快く引き受けていただきました。この訪問まで、そしてそれからも、総務省、外務省の陰ながらの協力があって実現しました。

    4月5日

    山陰中央新報に「よみがえれ華麗な響き」。岩井君の記事が紙面を飾りました。報道の力を知りました。報道の皆さんも、委員の一人と思い、同じく情報を共有することに心がけました。テーマが良かったのでしょう、各社の記者の方の協力を得ました。

    4月20日

    第1回の実行委員会の開催です。この時の委員は16人。副実行委員長は、プロジェクトゆうあいの三輪利春さんに引き受けていただきました。「ピアノ再生」という、できるかできないか判らないプロジェクト。理屈じゃなくて、みんなの夢だったのでしょうね。

    5月23日

    ピアノを所有しておられた田野医院の田野俊平さんとの出会い。俊平さんは鹿島病院のお医者さん。旧ピアノも一旦は持ち運ぼうとされたけど運びきれなかったとのこと。どこから田野家にやってきたのか、ピアノの経路を調べていただけることになりました。

    トマーシュ・ドゥブ大使との記念撮影

    6月12日

    トマーシュ・ドゥブ大使にお会いできました。気さくな大使に感激。大使がピアノの名付け親に!「ノヴィー・シヴィエト」チェコの偉大な作曲家・ドヴォルザークの「新世界」からの命名。略して「ノヴィー」。物語に、新たな元気が吹き込まれました。

    6月12日

    この日に、もう一つの出会い。チェコで有名なイラストレーター、イジ―・ヴォトルバさんの作品展が、ギャラリーで開催中。エヴァさんの知人で、いつでも紹介すると。2つ返事でお願いする。その作品展は、「ピアノの本」の表紙の作品だったから。

    6月16日

    第1回ノヴィー見学会を開催。「ノヴィー」が再生されていく過程をみんなで楽しもう。黒いピアノ「ノヴィー」。実は、琥珀色だったということが判明。全員、以前の琥珀色にしよう!再生まで13回の見学会を開催。いつも楽しい集いでした。

    6月17日

    小泉凡さんに、「ノヴィー」の弾きはじめをお願いする。明るく、楽しい弾きはじめにしたかったから。もう一つ、イジ―・ヴォトルバさんにお願いした作品に、小泉八雲さんと登場していただくことを。凡さんは、どちらも快諾!

    中山敬子さんがノヴィーのパーツと対面した様子

    8月13日

    ここまでも、いろんなことをメールで相談してきたピアニスト・中山敬子さんがドイツから帰国。啓子さんは、古いピアノを再生させることに熱心な人。バラバラにされた「ノヴィー」のパーツとご対面。もちろん、再生記念コンサート参加もOK!

    8月17日

    続いて、東京から、シンガー・ソング・ライターの伊藤誠さんも「ノヴィー」とご対面。一時、命をなくす危険もあった大病からよみがえり、命の大切さを歌い続ける彼。「ノヴィーのうた」の創作をお願いする。再生の歩みは、一歩一歩、確実に進んでいきます。

    12月22日

    松江のCATV「まーぶる」のスタッフがアートピアノ社を訪問。「ノヴィー」の活動をカメラで追ってドキュメンタリー番組を制作したいとの申し出。この日から、ディレクターの伊藤雄一さんの密着取材が始まる。テレビ、新聞スタッフの皆さんに感謝。

  3. 2016年

    実行委員会での決起大会

    1月17日

    再生記念式典まで、あと3カ月。募金活動も、再生作業もここからが勝負!ゴールが見えてきました。実行委員会での決起大会。小泉凡さん、伊藤誠さんも駆けつけて、缶ビールで乾杯!

    1月25日

    新しい試み。まくあけでのクラウド・ファンディングがスタート。期間は60日間。全国への訴えがどんなふうに波及するのかが興味のあるところ。結果は、101人、751,500円の寄付をいただきました。それで成功だったのかどうかは判断しかねます。

    お守り制作の様子

    2月14日

    「ノヴィー」は、なぜか、パーツが赤い糸で結ばれていました。それは全部切り取って「お守り」にしました。井土さんの提案で、新しくなった「ノヴィー」のパーツも、赤い糸で結ぶことにしました。多くの市民が駆けつけてくれました。

    興雲閣に設置された

    4月9日

    「ノヴィー」の旅立ちです。昨年の2月4日に田野医院から運ばれて、本当に再生されました。再び、中国ピアノ社のトラックで。一路、新しい居場所、興雲閣にむかいました。福島実行委員長をはじめ、委員の皆さん感無量!そして、興運閣でお出迎えへ。

    4月16日

    「ノヴィー」再生の日。チェコ大使、高嶺エヴァさん、プラハからはイジ―・ヴォトルバさん。そして、松浦正敬松江市長も。たくさんの参加者の前で、「ノヴィー」は堂々とよみがえりました。本当に再生の日はやってきました。

    再生記念コンサートの様子

    4月30日、5月7日、5月8日

    再生記念コンサートは、中山敬子さん、山陰フィルハーモニー管弦楽団、白築純さん、歌島昌智さんで、3日間にわたり開催されました。3日間、184人の皆さんに、「ノヴィー」によみがえった華麗な響きを堪能していただきました。

「再生」は終わりました

なんと、711人の方に、計5,487,250円の寄付をいただきました。
今、ぼくたちは「活用」という新しい道を歩み始めました。たくさんの人に「ノヴィー」を弾いてもらいたい。「ノヴィー」を聴いてもらいたい。ゼロから始まった「ノヴィー物語」。今は、数えきれない人と人のつながりの中で、歩みはじめました。